ベルリンで行われている世界大会、Valorant Champions Tour Stage3 Masters等の影響もあり、競技シーンにさらなる注目が集まっているValorant。
多くのEsportsチームが新設される中、CS:GO時代からプレイヤーとして活動し、今もUpdraftのリーダーを務めているEROC選手にインタビューさせていただきました。
EROC選手の今までの経歴やUpdraftが復活したきっかけ、そしてValorantにかける思いを伺いました。
EROC選手について – CS:GO時代から今まで
――この度はインタビューをお受けいただき、ありがとうございます。まずは自己紹介をお願いいたします。
EROC:Updraftに所属しているEROCと申します。年齢は26歳です。チーム内ではIGLを担当しており、エージェントはアストラやオーメンといったスモークキャラを中心に使用しています。
※IGL:ゲーム内での全体的な指示を行う役割
――大会ではスモークキャラだけではなく、ヨルを使用していたときもありましたよね。
EROC:そうですね、一瞬だけですが。あれは大会の1週間前くらいに、それまでヴァイパーを使っていたのですが、あまり感触がよくなくて。そこでヨルをスクリムで出してみたら、感触がすごく良かったので大会でも出してみた感じです。
――EROCさんはCS:GOの頃からプレイヤーとして活動されていると思います。CS:GO時代はどのように活動されていましたか?
EROC:CS:GOでは最後の1~2年くらいUpdraftに所属していました。その前だとSCARZなどに所属していましたね。
実績でいうとGGC2019(Galleria Game Challenge 2019)でベスト4ですね。CS:GOは日本での公式大会がなかったので、実質これが公式大会のような感じでした。
そのときからAbsolute(現在のZeta Division)と戦う機会はすごい多かったです。
――そこからCS:GOを引退されて、Valorantに移行されたのはいつ頃でしょうか?
EROC:移行自体を決めたのは2020年の4月ごろですね。メンバーもValorantに移行したい思いがありましたし、AbsoluteがValorantに移行するというのが決定していて、「Absoluteと戦う」というCS:GOに取り組むモチベーションがなくなってしまったのが要因です。
そこでチームメンバーとは別々になってしまいましたが、これがValorantに移行した理由です。
――なるほど。ありがとうございます。一時期は、BlackBird Ignisの臨時コーチとしてご活躍されていたときもありましたよね。
EROC:去年の12月のFirst Strikeの途中からコーチをさせていただき、オフライン大会準優勝を達成しました。
その後も丁度チームに所属していなかったので、VCT Stage1だけBlackBird Ignisのコーチをやらせてもらいました。
――そこから選手として再度活動をされていると思いますが、EROCさんが選手にかける想いをお聞かせください。
EROC:周りは置いといて、自分はまだ選手としていけると思っています。自分が納得行くまでは続けたいと思い、まだしがみついている感じですよね。
Updraft再発進。アマチュアチームながらフルタイムで活動する覚悟とは。

――UpdraftはVCT Stage3開催前に復活、という形ですよね。
EROC:そうですね。元々僕はUpdraftの初期メンバーではなくて。初期メンバーでいうと、現REJECTのfeezさんやNorisenさんだったり、現SCARZのmarinさん、そして現BBIのRIPabloさんでした。僕は途中から加入して、最終的にはリーダーを担当していた形です。
チームを新しく作るよりも、以前あったチームを復活させるほうが注目度は高いと思っていたので、初期メンバーに確認をとって、Updraftを復活させた形になります。
――EROCさんが主体でUpdraftを復活させたんですね。
EROC:実はUpdraftはメンバーだけでなく、チームのオーナーも決まっていたのですが、そのオーナーが直前に飛んでしまって。
Updraftを法人として設立し、チームとして活動する予定でしたがその話がおじゃんになって、1ヶ月くらい空白期間がありました。
このままでは埒が明かないと思い、アマチュアでもやってみようということで再発進しました。
――そのときからアマチュアチームながらフルタイムで活動されていますよね。これはかなり覚悟のいる決断だと思うのですが、いかがでしょうか?
EROC:今のTOPチームは間違いなく職業として成立していて、サポートを受けながら練習時間も確保できる体制があります。そこでこちらが働きながら練習してしまうと、勝てなくなってしまうという実感はあったので、最小限に生活できるようにしながら練習時間を作っています。
――なるほど。普段Updraftはどのような練習スケジュールで活動されているのでしょうか?
EROC:基本的に日曜日は休みで、週6で活動しています。15時からスクリム2試合と反省会、また17時からスクリム2試合と反省会。そしてご飯休憩を1時間ほど挟んで、20時からスクリム2試合して反省会を行うので、15時から23時位での活動という形になっています。
――スクリムは日本チームだけではなく、アジアのチームとも行うのですね。
EROC:大会前はあまり日本チームとスクリムをすることはないです。基本的にCSGO時代の知り合いの韓国や東南アジアのチームとスクリムを行っています。
元々CS:GOのときから、上位層は日本チームとあまりスクリムをすることがありません。
ただCS:GOと違ってVALORANTは基本的に国内で大会が完結するので、日本チームに慣れたりメタを探るという点で日本チームともスクリムを行っています。
――休みの日はどのように過ごされていますか?配信活動などでしょうか?
EROC:ここはそれぞれに任せています。毎日練習してしまうと、気持ちが摩耗してしまうので。
また日曜日はアジア圏内でも休みのチームが多く、試合ができないことが多いので、休みにしています。
別ゲーをしたり、配信したりと、それぞれのメンバーに任せています。
――現在はVCT Stage3 Masters期間ということもあり、多くの日本チームは来年に向けた準備期間となっていると思います。シーズン中に比べ、活動内容の変化はありますか?
EROC:第1として、現在は休みのチームが多いとは思うのですが、ここで結果を残していない僕たちが休んでしまうと、さらに差をつけられてしまうので、この期間を利用して差を埋めようと練習しています。練習内容としては特に変わりはありません。
ただVCTという大きな大会がないので、ひとまずは結果を残すことも大事ですが、エージェントを試したりもしています。勝つことだけではなく、自分たちのプレイスタイルを探っています。
――最近ではLV LEAGUEという大会に出場されていました。もちろんそこで勝つことも重要ですが、先を見据えた練習をしているということでしょうか?
EROC:そうですね。Stage3が終わったあとから、メンバーががらっと変わったので、色々構成を試しています。
今のメタ構成も試したのですが、あまりそれは肌に合いませんでした。
――VCT Stage3では思ったような結果には届かなかったと思います。VCT Stage3を終えた感想をお聞かせください。
EROC:僕自身、ゲーム理解度には自信があり、結果を残せると思っていたのですが、その時に出たメンバーとあまり長い時間プレイできていなかったことから、方向性が定まらずうまくプレイできませんでした。自分の理想とのギャップに苦しんだ大会でしたね。
――8月5日から、新メンバーとしてUpdraftが再スタートしました。今回のUpdraftにはどのようなメンバーが集まっているのでしょうか?
EROC:以前のメンバーが様々な事情で抜けることになり、3~4人メンバーを集める必要がありました。最初にまず、CS:GOの頃から強いと思っており、VCT Stage3では思考行結として出場していたMerRy選手に声をかけました。そしてMerRyさんとCS:GOの頃からプレイしていた、MarmaloさんとCastleさんを呼びました。
そしてtakejさんの弟子であり、将来有望であるRheifyさんに声をかけました。
――またUpdraftも、最近の競技シーンに見られる6人ロースター制を採用しています。その意図をお聞かせいただけますか?
EROC:大会で負けた理由が、ゲーム理解度よりも個人的な問題がすごく多くて。反省会もエージェント理解での反省が多くなっていました。人数が5人だと、色々なキャラを練習しないといけないので、1つのエージェントを高める機会が中々なくて。
それだったらアマチュアでも、エージェント専業、多くても2キャラという環境を作るために6人体制を考えました。
――現在はチームとして準備期間になると思いますが、この期間で個人としてはどのような点を成長したいと考えていますか?
EROC:やっぱり世界大会を見ていても、打ち合いが基礎としてあって。強い撃ち合いがあってこその作戦だったりするので、僕個人としては撃ち合いの方を強化したいと考えています。
今までは考えの方ばかりを注視していて、個人技の方に集中できていなかったので、ここ半年はそこを強化しています。
――Updraftの他のメンバーはフィジカルにかなり自信のあるメンバーなのでしょうか?
EROC:そうですね。特にMerRyさんはジェットを使っていて、スタッツでも常に上位ですし、スタッツに出ないところでもうまくやってくれています。全体的にはフィジカルが強いメンバーですね。
またCastle・Marmelo・MerRyは元々同じチームでプレイしていたので、チームは決まったばかりですが、お互いを理解しているので連携面もうまくいっています。
――ありがとうございます。最後に今後の目標をお聞かせください。
EROC:長い目で見るともちろん日本1位ですが、今の現状で言うとただの夢になってしまうので、プレーオフ進出の日本ベスト8です。
もちろん直近の大会でも構成などを試すことには試すのですが、結果を残さないとチームとしての魅力がなくなってしまうので。長い目ではみたいのですが、直近で結果を残せないとサポートもいただけない、という葛藤がありますね。
ここを両立できるよう活動していきたいです。
――ありがとうございました!これからのご活躍を応援しております。
EROC選手
Twitter:@erocVL
Twitch:erocVL
Updraft
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